江のブログ

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今後も日本の経済、国際競争力の将来に期待できないと思う理由(備忘録)

f:id:gigabeat07:20220116152046p:plain日本の国際競争力の低下が止まりません。30年前は時価総額世界TOP50社のうち,日本企業は35社でしたが,今ではトヨタの1社だけ。しかも,今後の見通しも暗い。総GDPでは既に中国に抜かれ,1人当たりのGDPも30年前は日本の1/5も無かった韓国に追い付かれつつあります。

こんな惨状に対して日本政府が行っているには金融緩和などの痛みに伴わない小手先の経済政策ばかり。実際に日本を代表する大手メーカーで15年ほど勤めてきて,日本の競争力が低下しているのは肌身で感じますし,そして今後も復活はないであろうことも感じています。今回は現在日本がうまくいってない理由,今後もうまくいかないであろう理由を,簡単なロジックで備忘録的に考えてまとめてみました。

 

現在うまくいっていない理由~小手先の金融政策ではうまくいかない

かつては経済的にライバルだった米国の背中がどんどん遠のき,これまで相手にもならなかった中国,韓国にさえも追い付かれ追い越されていく。他のアジアの国々もどんどん力をつけている。

こんな1人負けの状況から抜け出すには,イノベーションを起こし次世代産業を育てて,事業で国際競争力を発揮するしかない。今日本リフレ派がやっているような,小手先の金融・経済政策でうまくいくはずがないと思ってます。

 

実際,現在経済が強く,成長が目覚ましい国を観れば分かります。例えばアメリカです。

1990年くらいには半導体,自動車に日本に追い越されたが,新しいIT産業で復活し,今ではプラットフォーマーと呼ばれるGAFAなどの時価総額TOP企業を多数生まれました。これらの企業がけん引し,アメリカ企業の世界の時価総額に対する割合はなんと44%(2021年)となっています。

 

中国は,近年は家電やスマホでトップのアップルやサムスンと同等の品質の製品を作れて国際競争力を十分確保できるようになってきた上で,最近ではBATHなどAI関連企業も成長して「国際競争力がある」という水準を超えて,これらのイノベーション分野では世界最高レベルにあります。その他次世代通信の5G,6G技術でも同様に高い競争力をもっています。

 

韓国も同様です。サムスンが半導体,家電,スマホで世界TOPもしくはTOPレベルで,次世代通信の5Gでも基盤特許を日本の何倍も多く抑えている。ドイツも,以前自動車産業が強し,新たな産業分野として製造IOTシステムで高いシェアを持ちます。日本企業(日立,東芝,富士通)は相変わらず,独自にシステムを開発し,昔の家電と同様,開発力を分散した上にグローバルな国際性もなく,負け戦に挑んでいるようにしか見えません。

 

これらの代表的な国々だけでなく,経済的に伸びている国は,決して小手先の金融政策がうまくいったからではないし,そんな話は一切聞かないです。聞くのは,新しくて巨大な強い国際競争力のある産業の存在であり,これらが国の経済がけん引しているのは明らかです。

 

今後もうまくいかない理由

これだけ他国の事例があるにもかかわらず,日本では新規産業が一向に育たず,国際競争力が落ち続けている。これは一体なぜなのでしょうか?

①政治がダメなのに変らない~金融政策や為替だけで良くならない

 1つは日本国民自身が,政治面で自滅の方向に向かうような選択をしているからだと思います。

 実際,選挙をすれば従来政権の自民党の圧勝,一時期に民主党政権もその総括がままならぬまま,ちょうど重なった3.11のネガティブな印象と紐づけられて「大失敗」だっとと見做されている。

 つまり,この30年間落ち続けた日本の政治の中心にいた自民党を支持し続けてます。

別に自民党が悪いといっているのではないです。経済対策といえば金融対策ばかりで,何一つ有望な(上記,日本の国際競争力復活に必須の)新産業を生み出せなかった政権を支持し続ける国民に対して理解に苦しみます。

結果がでてないのに,支持し続けるのであれば,新たな政権維持にリスクのある政策を打ち出さないのは当然だったりします。

 

ではなぜそうなるのか?長期的に国民全体に利益をもたらす改革が実行できないのか?これは日本の国際競争力復活に必須の新産業を生み出したりするのには,「痛みが伴う」からです。さらにはメディアやそれに扇動された国民自身によって,改革がつぶされるためだと思っています。

 

 新産業を生むにはラディカルな政策が必要です。新産業が生まれると,その代わりに,既存の古い利益率の低い産業のいくつかは潰れなければならないです。新しい労働市場に人を送りつつ,既存の産業に人を残すのは不可能です。既存産業がなくなれば当然痛みが伴います。

 すると「国民の痛み」に敏感なワイドショーなどのメディアがそのネタに途端に飛びつきます。番組には「専門家」が登場し,国民の痛みを理解し国民に寄り添った意見をします。すると(バカな)国民たちが扇動され,新産業が生まれ改革案を批判し,結局は改革がつぶされてしまうのです。長期的に国民全体に利益をもたらす改革が,扇動されやすい(バカな)国民自身によってつぶされてしまうのです。

 

②日本の同調圧力

 一般的な国民が情弱ということであれば,どの国でも同じはずです。しかし,日本独特の同調圧力によって,さらに状況は悪化しています。

 改革は「国民の痛み」を伴うので,国民に寄り添うワイドショーコメンテイターはその痛みを批判し,それに反応してノイジーマイノリティが騒ぎ立てます。すると,そいういった騒がしいけれど実は少数かもしれない意見が,「空気」として影響し,国民全体がおかしな方向に導かれてしまいます。

(こういった状況を考えるといつも,同じように扇動された国民によって米国との開戦に踏み切った当時の日本を想起してしまいます。)

 

giron.hateblo.jp

③低い人材流動性

 さらに日本の労働市場の流動性の低さが,さらに改革を難しくします。

 新しい産業を生むためには,古くかつ利益を上げられない企業には市場から退場してもらう必要があります。

 アメリカなど人材の流動性が高い労働市場であれば,将来性のある産業に人材が配置される,そこで活躍できれば給料が上がる,失敗すれば給料が下がったり,クビになったり,そうならないようにハングリーさを取り戻して「学び直し」をしたりと,いろいろな変化が起こることで,自然と変化に対応できます。

 

しかし,日本はでは未だに終身雇用を前提とした,とても流動性の低い市場となっています。

 日本では未だに、どんな成熟さらに斜陽・衰退産業でも,そこに勤める社員は,その業界の数少ないTOP企業と自分を比較して,自分たちがうまくいかないのは,会社の幹部が悪いのだと思っています。決して,自分が落ち目の産業にいる,自分が悪いとは思いません。そのため潰れるべき会社がつぶれずに低い生産性がキープされてしまいます。

 ともかく,日本では流動性が低いため,会社をやめた場合に,再雇用されるチャンスが少ない,あるいは少ないと思い込んでいるので,新しい産業に労働者が流れていきません。実際新しい場所で活躍できる能力があっても,なかなかそこまで行きつかないことが多いです。

④高IQや勤勉性という同じ強みを持つ「東アジア」のライバルが増えた

最後に元も子もない理由ですが,日本が復活が難しい理由として外せない以上,言わない訳にはいきません。

 それは,これはこれまでに日本がラッキーで,今後その幸運は巡って来ないだろうということです。戦前,戦後も日本はアジアで唯一の先進国でした。その中で無から有を作り出すようなイノベーションは欧米に劣るものの,勤勉性やIQの高さを生かして,既存の技術の改良・改善することに長けていたので,自動車,家電,半導体で欧米に追い付き,追い越し世界を席巻しました。

 しかし今では,これらの日本が強みとする気質(IQの高さや勤勉性)を持ち,かつ日本で失われたハングリーさを兼ね備えた東アジアのプレーヤー,中国、韓国,台湾がいます。そして実際,先に挙げた自動車,家電,半導体の分野で日本を追いつき・追い越し,かつて日本がやっていたような「安くて良い物」で世界を席巻しています。もともと持っているポテンシャルを十二分に発揮し,その実力を証明している訳です。

 しかも、、ハングリーさを失ってない上に,①~③に挙げた弱点である日本の国民性や文化的に要素についても,もっていないか,日本より弱いものになっています。なので,イノベーションを起こすことにかけては日本より得意だし,実際,日本キャッチアップ後に,あっという間に,AIや次世代通信(さらには次世代ディスプレイの有機EL)で日本は置いていかれてしまったのです。

 という訳で,今後既存分野はもちろんイノベーション分野でもこれらの国々を再び抜き返すのは難しいのではないかと思うのです。

まとめ

 今回は,一時期世界を席巻した日本の競争力がここ30年で下がってしまった理由と,これからも期待できない理由について備忘録的に考えてみました。

 こうして見ていくと,日本の復活は,歴史的にも,文化的にも,世界の情勢を見ても難しいということになると思います。もちろんあきらめたくはないですが,あらゆる専門家の意見を見渡しても,日本復活のための明確で具体的で説得力のある方策は見たことも,聞いたこともない,のが現状です。ある程度これを将来の前提として「生き方」考えるのが無難な気がしています。