江のブログ

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『進撃の巨人』のストーリーで違和感を感じる部分とその理由③ ~巨人大戦終結後のカール・フリッツの行動が謎

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今回は人気アニメ「進撃の巨人」の視聴後に感じた違和感について記事にしました。

基本的にこのアニメは伏線回収モノであるため,かなりストーリーの繋がりには気が配られていて,物語はとても緻密です。しかし,緻密であるがために,ふとストーリーを客観的に眺めてみたときに感じる違和感がいくつかあります。今回はそんな『違和感シリーズの3つめ』ということで備忘録的に記事にしました。

 今回は私がたてたYahoo!知恵袋のスレをまとめる形で,記事にしています。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14255062744

↓これまでの進撃の違和感関連記事はこちらです。

giron.hateblo.jp

giron.hateblo.jp

 

今回の疑問:フリッツ王の行動がおかしい

ストーリーをおさらい

 物語開始から100年前,エルディア帝国は巨人の力を使って残虐の限りを尽くしていました。世界の惨状,とりわけ虐げられたマーレに心を痛めた145代王のカール・フリッツは,タイバー家およびマーレと共謀し,巨人大戦を終結させます。そして,カール・フリッツはその後,残されたエルディア人を連れてパラディ島に退き,巨人の力で3重の壁を築きます。しかしその事実を公表することなく,表向きは大戦の敗者としてパラディ島に逃げ込んだように見せかけ,地ならしを抑止力として世界をけん制する「島の悪魔」として居続けます。一方,壁の中のエルディア人は始祖の力で記憶を消され,マーレから送られてくる無垢の巨人の恐怖に震えながら壁の中で生活しています。この設定から物語が始まっていきます。

違和感を感じる点

 さて,今回の疑問ですが,『なぜフリッツ王が,自身が巨人大戦を終結させた一番の功労者でありながら,それを世界に公表せず,悪者であり続けようとしたのか?それによって,無実のエルディア人に苦しみを与える状況を放置したのか?』ということです。

 戦争を終結させ付箋の契りを結んだ地点で「地ならし(Rumbling)」の脅威はなくなるので,世界平和を望んでいるのであれば,壁内エルディア人が恨みを買うようなウソの歴史をそのままにする必要がありません。そして,自分が連れてきたエルディア人になぜ「この世の地獄」とも言える苦しみ与えて、それを放置するのでしょうか。

違和感を感じる点を成り立たせる仮説

 それではこの違和感を感じる点を成り立たせる仮説を,本編ストーリーの設定も含めて考えてみたいと思います。

仮説①:贖罪

 まずストーリーの設定に基づいて考えてみます。

 ストーリーの設定上の理由としては「エルディア人が犯した罪への贖罪」というもです。これは,フリッツ王により壁の中に閉じ込められたエルディア人たちは無垢の巨人の攻撃にさらされますが,それを受け入れること自体が過去にエルディア帝国が犯したことに対する贖罪になる,というものです。

 しかし、それほどまでにエルディア人の罪が重く,それを償わなければならないと思うのであれば,中途半端なことはせず,その時点で(始祖の力を行使可能とするため)不戦の契りを結ぶ前に,始祖の巨人の力を使ってエルディア人を集団自決なりさせて滅亡させれば良かったと思うのです。

仮説②:フリッツが残されたエルディア人に温情を与えたから?

 もう1つの可能性として,エルディア人の犯した罪は許せるものではないが,即時滅亡はやり過ぎだし,一般のエルディア人は無実なはずなので,温情を与えて取り敢えず生かしておいた可能性はあります。

 しかし,実際には安楽死以上の苦しみを,その一般市民や子孫に与えているのは明らかです。(マンガ,アニメの視聴者は,物語のグッドエンドを想像するので,安楽死計画に相対的にネガティブな印象をもちますが,エルディア人の問題が解決せず,レベリオ区のような状態が永遠に続くなら安楽死がマシと思います。)

 

 壁内人類は,フリッツの作ったウソ(パラディ島脅威論)のため,マーレから無垢の巨人を送り込まれるなど攻撃を受けました(始祖奪還関係の攻撃は,それと無関係にあったと思いますが)。

 また,マーレ内のレベリオ地区に住むエルディア人も,パラディ島脅威論のためにより不必要に虐げられています。カール・フリッツがパラディ島が安全であることを世界にアピールしていさえいれば,これらの悲劇は生じませんでした。

 つまり,フリッツ王の政策により,壁内外のエルディア人がこれ以上なく苦しむことになるのです。このようにフリッツ王がエルディア人に温情を与えるために,すぐには滅亡させなかったというする説は無理があるように思われます。

仮説③:エルディア人に生き地獄を与えようとした?

 これは①に似てますが,よりアグレッシブです。つまり,マゾ的に自らの民であるエルディア人に苦しみを与えたかったから、という仮説です。マーレが同胞エルディア人を無垢の巨人にしても何も言わず,壁内人類がその無垢の巨人に食われることも受け入れ,マーレ内エルディア人が迫害に苦しんでも何もしない,ばかばかしい理由ですが,ある意味これが一番筋通っている気がします。

 しかし,世界の人々の苦しみに心を痛めて大戦を終結させた正義感の強いカール・フリッツです,戦乱の首謀者たる知性巨人たちに対してのみならいざ知らず,無実のエルディア人にまで後世に渡って苦しみを与える人格と矛盾しますし,そうだとしたら違和感しかありません。

 

本来あるべきカール・フリッツの行動

 このように,どのように考えてみても本編ストーリーにおけるカール・フリッツの行動は違和感が残ることが分かります。では,違和感をなくすにはカール・フリッツはどのように振る舞えば良かったのでしょうか?それは,これまで何度か出てきたものを含みますが,次の2点だと考えます。(もちろんこんなことしたら,エンタメという観点でストーリーは全く成り立たなくなりますが)

その①:壁内エルディア人を大切にする

 カール・フリッツは,大戦終結後にわざわざたくさんのエルディア人をパラディ島に連れて行きました。せめてもパラディ島に連れてきたエルディア人たちには幸せになって欲しいと思うのが自然な感情のはずです。

また,壁を囲う無垢の巨人からの恐怖にも対処することができたはずです。始祖の力は完全に引き出せなくても,(民に知られず楽園を築きたいはずなので,こっそり夜に抜け出して)壁の周りの無垢の巨人を間引くことくらいできるはずです。現にグリシャ巨人とは戦ってましたしね。そうすれば壁内人類にとって,それこそ幸せな楽園になったでしょう。

 また,壁外に残したエルディア人に不利益がないように,巨人大戦を終結させた功績を世界にアピールしたり,恩赦をお願いしたりできるはずだと思うのです。少なくとも,パラディ島が安全であることを世界にアピールすべきでした。そうすれば本編ストーリーほどにはマーレ内に住むエルディア人も必要以上に迫害を受けたりと苦しまなくて済んだはずです。

その②:さっさとエルディア人を滅亡させる

 これは前半部分でもでてきた,①と全く逆のパターンです。

 もし,エルディア帝国の行いが残虐非道で許されるものではなくエルディア人自身が裁かれるべきと思うなら,大戦終結とセットで,始祖の力でエルディア人を滅亡させればよかったはずです。そうすれば罪を償うことができるし(自己満足ですが),生き残っていても世界から憎まれ苦しむしかないエルディア人をその運命から解放することができます。(もちろんこんなことしたら,エンタメという観点でストーリーは全く成り立たなくなりますが。。)

まとめ

 以上まとめると,巨人大戦終結後のフリッツ王の行動にはかなり無理があることが分かります。もちろん,エンタメ作品である以上,その無理がないとストーリーが成り立たなくなるので仕方ないですが,もう少し違和感をオブラートに包んでくれればよかったかなと思います。