江のブログ

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『進撃の巨人』のストーリーで違和感を感じる部分とその理由②~カール・フリッツ王が巨人の壁を作った行動が謎

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今回は人気アニメ「進撃の巨人」の視聴後の感想を記事にしました。「進撃の巨人」は前回の記事にも書きましたが,扱うテーマが多彩かつストーリーが練られていて,他のアニメ作品で見られるようなご都合主義が殆どありません。

 しかし,現実社会と対比できる深いテーマを扱っているからこそ,大部分が非常にロジカルであるが故に感じてしまう,違和感を感じる部分がいくつかあり,今回はその部分の1つに着目して記事にしてみました。

↓前回の違和感まとめ記事はこちらです。

giron.hateblo.jp

 

フリッツ王は何故,巨人の『壁』を作ったのか?

今回の違和感パートですが,「進撃の巨人」の物語の全体に関わる大前提です。

それは,『なぜパラディ島に地ならしに転用可能な「巨人の壁」を作る必要があったのか?』ということです。仮に壁を作るのに巨人の力(硬質化)が必要だったとしても,なぜ生きた巨人をそのままにしたのかということです。

 今回は,これの何に違和感を感じるのか?ということと,この疑問の答えについて考えていきたいと思います。

本編での説明~フリッツ王が壁を作った理由

 まず最初に断っておきますと,もちろん物語が根幹に関わるところですから,本編でも次のようなロジックで説明はされています。

・壁内人類から見た「壁」

 フリッツ王は壁内エルディア人たちの記憶を改竄し,「100年前、壁外の人類は滅亡,今は壁が無垢の巨人からの攻撃を守っている」というウソを信じ込ませました。このウソの象徴が「壁」であり,ウソが成立するために,確かに壁は必須のインフラです。

・壁外人類から見た「壁」

 フリッツ王は,世界平和の思想を持った人物で,100年前の巨人大戦を終結させました。しかし,その功績を公表することなくパラディ島に移り,表向きには「攻撃されれば”地ならし”で報復する」と言って(実際は言ってないですが),壁の中にこもりました。

 壁外人類からみた場合,その壁は,王を含むエルディア人が今だに過去を反省せず逃亡した末に「身を守るために作った壁」,何より壁の中の幾千万もの巨人による「地ならしのための壁」,「パラディ島脅威論の象徴ともいえる壁」です。

 以上のように、壁内/壁外人類のいずれから見ても,壁は確かに機能しており,ストーリーに違和感なく組み込まれているように見えます。

明らかにおかしい点

 しかし問題は,なぜ『カール・フリッツは,わざわざ人類を滅亡させるリスクのある「地ならし」を実行する本体となる幾千万の超大型巨人を壁の中に仕込んだ(残した)のか?』ということです。

 

 まず壁内人類(エルディア人)の視点で考えれば,壁は無垢の巨人から守る壁でありさえすればよい訳です。中に巨人が入っている必要などありません。しかも,無垢の巨人にやられ放題の壁内人類です。いつ反乱がおきて始祖が奪還されるかもしれません。世界滅亡も可能な巨人入りの壁の建設は,リスクが大きすぎます。兎も角,何も知らない体の壁内人類にとって,壁の中に巨人を埋めこむことのメリットはありません。

 

 また,壁外人類にパラディ島脅威論を信じ込ませるためであったとしても,原作にあるように実際にフリッツ王が地ならしを発動する気など,万が一にもありませんでした。さらには,不戦の契りによって,やりたくても発動できなかった訳です。

 

 それならなぜ,世界平和のため自らを貶めてまでパラディ島脅威論というウソをついたフリッツ王が,壁をただの壁にせず,バカ正直に世界滅亡リスクもある巨人入りの壁にしてしまったのかが理解できません。

 

 

フリッツ家の始祖の巨人の管理が雑過ぎる~容易にグリシャに侵入を許す

 これに関連して,そもそも「地ならし」が世界滅亡につながるリスクがあるのに,フリッツ家の始祖の巨人の管理が緩すぎる,ということがあります。

 上記のように,壁内,壁外の両人類にとって,パラディ島の壁に超大型巨人を仕込む必要などありませんでした。しかし,フリッツ王は巨人入りの壁を作ってしまいます。これにより,始祖の巨人を奪われ,王家の血を持つ巨人と接触すれば,容易に地ならしが発動されてしまいます。フリッツ王およびしフリーダまで続く末裔は,それを発動する気がありません。

 にもかかわらず,仕込む必要もない巨人を壁に仕込んだ上に,一般人グリシャに容易に侵入を許し,始祖の巨人と対面を許してしまいます。始祖の巨人は「核」のようなものです。なぜ厳重に管理できなかったのかが謎です。

 

 つまり以上で見てきたように,物語の終盤でエレンが発動する「地ならし」に使われた壁の中の幾千万もの巨人たちですが,そもそもフリッツが100年前に壁になかに仕込んだという選択がそもそもおかしいし,違和感のある設定だと思うのです。

無理やり解釈するとこうなる

 ここまでフリッツ王の行動の違和感について書いてきましたが,なるべく違和感の生じない解釈にトライしてみます。

 1つ目は,フリッツは超大型巨人を並べて硬質化させることでしかあの規模の巨大な壁を作ることができなかった,ということです(巨人が橋を作った歴史の話がでてくるので,実際はできると思いますが。。)つまり,壁を作るのに巨人が必要だった。

たしかにあれだけの規模の壁です,巨人の力を自在に操れる始祖の巨人の力があれば,「巨人を作って並べて、硬質化!」でできるので,一番手っ取り早い方法と言えますし,実際そのように壁を作ったのだと思います。

 しかしその場合も,硬質化したらリスクヘッジのため,始祖の巨人の力で,中身の巨人は殺すか,消すかしておいた方が安全と言えます。中身の巨人が死ぬと硬質層が壊れる,消えるという設定があれば成り立ちますが,そのような設定はなかったと思います。

 

 2つ目の可能性は,もともと壁の巨人など使わなくても,始祖の巨人の力を使えば,幾千万もの超大型巨人は量産できるという可能性です。

 そもそも,カール・フリッツは,パラディ島に移ってからどのくらいの期間であの巨人入りの壁を作ったのでしょうか?もし,1日2日でできるのであれば,ひとたび始祖の巨人の力を発動すれば,壁の中の巨人に頼らずに「地ならし」を実行することができます。この場合,壁の中の巨人は地ならしのリスクではあるが,無くても始祖の巨人奪われた時点で結果は変わらないので,取り敢えず壁の中に入れておいた,そのままにしておいただけ,とも解釈はできます。

 

しかし,やはりいくら良くできた「進撃の巨人」であっても架空のお話です。ストーリーを成り立たせるために必要設定であった,というのが一番リーズナブルな説明となりそうです。

まとめ

今回は「進撃の巨人」のストーリーに感じる違和感ということで,「フリッツ王がなぜ壁を作らなければならなかったのか?」について考えてみました。物語の根幹にかかわるところなので,頭の整理と備忘録的に疑問点をまとめてみました。物語の考察など足しになれば幸いです。