江のブログ

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英語学習に関する独自の理論と英語力向上の戦略~英語力をマトリックスで可視化

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 今回は英語の学習についての記事です。プロフィールにもありますが,自分はTOEIC で900点を取得してます。取得したのは,会社入って2年目のときです。(以降面倒なので受けていません)。ただ,入社1年目のときは700点弱で,その後の1年ほどで200点ほど点数を上げることに成功しました。一方,900点取得後,しばらく経って入社10年目くらいで,こちらもプロフィールにもありますが,会社の研究制度で2年ほど欧州に留学しました。しかし,留学前はTOEICで900点ありながらまともに英語が話せませんでした。留学が迫った時,普通なら不安に感じるところだと思いますが、英語に関しては焦りはありませんでした。果たして留学後,留学1~2カ月でまず,現地の人たちとは全く問題なく英語で話せるようになりました。また留学期間1.5年の後では,ビジネス英語レベルは全く困らなくなりました。また,国際学会数回レベルの自分も,国際学会に何十回とでている猛者たちに対して,少なくとも英語では?負けない状態になりました。

 それでは,どうやって1カ月でTOEICの点が200点上がったり,しゃれべない状態から喋れるようになったのでしょうか?

 それは,『英語力』というものを2次元的な面で視覚化し(あとで説明します),それをベースに現時点の実力と目標到達点,さらに現状から目標に到達するまでに何をすればいいのか,明確に把握していたからと思います。そしてその通りに努力したら結果が出た,ということになります。

 今回は,『英語力』の視覚化の方法と,それに基づいて英語力を伸ばす戦略についてまでを書きたいと思います。

 

よく言われる『日本人が英語がしゃべれない理由』とは?

 自分がTOEIC900点取っていたのにしゃべれなかったように,一般的に日本人が中学,高校合わせて6年間も英語教育を受けてるのに,殆ど英語をしゃべれない理由はなんでしょうか。

 まず,「日本人 」「英語がしゃべれない 」「理由」で検索してでてくる,上位のページで出てくるのは日本人にメンタリティや気持ちや,心構えに焦点を当てたものが多いように感じました。

 「間違える勇気を持ちましょう」「とにかく話してみましょう」「自信をもちましょう」とかです。

 また,日本の英語教育を批判したものも多いです。教育課程で,「英語を運用する能力を教えてないからダメなんだ」という理論です。しかし,英語力を獲得することの目的をはっきりさせないまま,「日本の英語教育悪い」といっても,何の解決にならないですし,無意味です。

 それでは,そもそも『英語力』とは何なのか,ということについて,自分の考えを説明したいと思います。最後の方に「なぜ日本人は英語がしゃべれないのか」,「日本の英語教育の是非」についても考えを書きたいと思います。

ポイント

日本人が英語をしゃべれない理由として良く言われるものは,精神的なものが多かったり,運用力ばかりに焦点を当てたり,目標レベルがはっきりしないものが多い

 

英語力をマトリックス(面)で捉える

 自分が『英語力』について考えるとき,次のようなマトリックスをイメージしています(縦:10,横:11)。縦軸が英語の『運用レベル』,横軸が『語彙・文法のレベル』です。

 つまり,従来のように『英語力』を山を登るように伸ばしていく1次元の『線』ではなく,「運用レベル」と「語彙・文法レベル」の2次元の『面』あるは『ベクトル』としてとらえています。

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図1.従来の1次元的な英語力(左)と,2次元的な『面』で目的(会話重視 or 受験)に応じて英語力をとらえる方法


 それでは,まず縦軸,次に横軸の意味するところを説明したいと思います。

縦軸:運用レベル

1~2:読む

3~4:書く

5~7:聞く

8~10:話す

 英語の運用レベルで1~10まで分けています。『読み』,『書き』,『聞く』,『話す』の順に運用レベルが上がっていくとしています。これは,単語や文章を『話す』には,単語や文章を構成して(時間をかけてでも)『書く』能力と,正しく発音を理解した上で『聞く』ことが必要だからです。

 もちろんネイティブの幼児は,話す・聞くが先にできるようになりますが,それはネイティブかつ幼児だからです。幼児が母国語を獲得する過程と,非ネイティブが第2(以降の)外国語を学ぶ過程は全く異なります。

 

 次に具体的なレベル分けについてです。 

 日本の高校までの英語教育だけだと,普通はレベル4の読み書きしか,頑張ってもレベル5~7の『聞く』までしかできるようになりません。かなり優秀な学生でも,高3レベルの難しい語彙や文法になると,詰め込んで一時的な読み書きできるレベルとするのが精いっぱいで,聞き取ることや(レベル:5~7),ましてそれを使いこなして話す(レベル:8~10)ことなど,まずできないです。

 一方,レベルが10になると母国語と同じように,言葉がもつ意味の輪郭がかなりはっきりしてきます。例えば,英語の学習で単語の意味を辞書的に答える訓練がありますが,意外と難しいものです。輪郭がはっきりすると,母国語と同様,かなり明確に答えられます。

 8~10の運用能力を獲得することが,多くの日本人にとっての課題だと思います。自分自身もそうでした。しかし,そのために必要なトレーニング量は,次に紹介する横軸の語彙・文法レベルによって大きく異なります。

横軸:語彙・文法レベル

 横軸は,語彙・文法についてのレベルです。こちらは比較的分かりやすいかと思います。かなりざっくりレベル分けをしました。

0:日本に住んでいれば自然と身につく和製英語レベル

1~3:中学英語レベル

4~6:高校英語レベル

7~9:大学以降英語レベル

10:教養のあるネイティブレベル

 

 英語未学習の状態を意味するレベル0を入れるか迷ったのですが,運用レベル10の状態をイメージしてもらうためにとても都合いいと思ったので入れました。例えば,英語の勉強をしたことがなくても,「Hello」「How are you?」は誰でも「読む」,「書く」,「聞く」,だけでなく,「話す」こともできますよね。

 次が一番重要なことですが,英語力上げる行為とは,自分がターゲットとするレベルまでの語彙・文法を,「Hello」「How are you?」レベルまでもっていくこと,だと考えています。

 ただし,個々人の英語を身に付ける目的によって,マトリックス上で運用レベルを上げる範囲が変わってきます。具体的なレベルのイメージは次のようになります。

・一般会話レベルの英語力を身に付けたい:中学レベルの英語が運用レベルを最高レベル近く(8~10)にもっていけばいいです。

・ビジネスで困らない英語を身に付けたい:高校レベルの語彙・文法を身に付けた上で,運用レベルを最高レベル近く(8~10)にもっていけばいいです。

・レアだと思いますが,英語でネイティブとディベートで張り合いたい:この場合には,最高レベル近く(8~10)の語彙・文法を身につけ,さらにそれを高いレベルで運用することが求められます。

 

 つまり,図全体のまとめとしては,次になります。

ポイント

英語力を1次元的に捉えるのではなく,「運用力」と「語彙力・文法力」の『2軸』あるいは『面』で捉える

これにより,ただ頑張りましょうではなく,個人の目的・目標に合わせた,英語力向上の方針が圧倒的に立てやすくなると思います。

 

様々なタイプを図解

 それでは,この考え方を使って,具体的に様々なタイプを分類してみます。

①英語の学習しはじめ

  英語の学習のし始めの場合。全く英語学習をしていないので,一般常識レベルの「Thank you 」「Hello」などの表現しかできません。しかし,和製英語化して日常的につかっているので,狭い語彙・文法(と言えるほどではないかもしれませんが)の範囲ではありますが,読み,聞き,書き,話し,全部できるということになります。つまり,運用能力としてのレベルは10です。

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図2.英語教育を全く受けてない時点での英語レベル

②受験英語しかやらなかった人

  こちらは,日本の教育しか受けていないが,優秀な受験生をイメージしています。

こういった人たちは場合によっては,努力が報われず,うまく喋れません。これは,英語を話す訓練をしていないので当然です。(学歴コンプレックスを持っている人や,なんちゃって英会話ができる人などからは,現状の英語教育の駄目さ,や「使えない英語」を象徴する格好の実例になってしまったりします。。)

 しかし,この図から明らかなように,持っているベースが高く,話せるようになるための白地は少ないので,英語運用のためのトレーニングを正しく行うことで,驚くスピードでビジネスレベルの会話までできるようになります。

 ちなみに,この状態が,TOEIC900点保有しながら話せなかった留学前に自分の状態です。実際,留学後に1~2カ月でほぼペラペラになりました。

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図3.優秀な受験生の英語力

③帰国子女

  ときどきいる,子供の頃,海外に住んでいて,少なくとも中学のときからは日本で育っているというパターンです。この場合,日本の中学英語くらいは完璧に使いこなしていている場合が多いです。

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図4.帰国子女の高校生の英語力

 こういった方たちは,高校で真面目に英語を勉強すると,どんどん伸びていき,高校卒業前に英検1級をとるかとらないかというレベルまで到達したりします。実際,そんな人たちをたくさん見てきました。

 一方,高校で全く真面目にやらない人たちというのもいて,その人達は,大人になってTOEICで800点くらい,それもリスニングは良いんだけど,リーディングがいまいちで800点どまりになる,というパターンです。

④ネイティブ

  大人の教養するネイティブはマトリックスが全て埋まった状態をイメージすればいいです。英語学習の最終系ですね。しかし,殆どの人はここまでのレベルを求めていないのではないでしょうか?もちろんネイティブレベルに成れればこしたことはないけれど,そのレベルに達するにはもの凄く労力がかかります。

 こういう意味でもゴール設定というのはとても大事なことです。

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図5.ネイティブの英語力

 

英語力を伸ばす戦略

 それでは英語力を身につけるにはどうしたらいいのか?マトリックスを使って説明していきたいと思います。

①ターゲットを明確にする!

 まず,これがなにより重要です。自分が英語を身に付けて何をしたいのか,そのために必要なレベルはどれくらいなのか?これによって努力する部分が全く異なってきます。ここでは具体的な例で示していきたいと思います。

TOEICで高得点と取りたい!

 TOEIC L&Rであれば,スピーキングはないのでリスニングまでできればいいです。また,語彙力・文法力でいえば高校レベルができれば十分です。ということで図5の緑で示した領域までマスターすればいい,ということになります。

 ただし,スピーキングの訓練をするとリスニングが強くなるというのはあります。英語では,単語と単語がくっついて発音される場合がありますが,実際に自分で口にしてみることで連音の仕組みが納得でき聞き取りやすくなるという効果はあります。

外国の友達と英語で話したい!

  このレベルであれば,高校レベルの語彙・文法で身についてなくても,簡単な中学レベルの英語と運用の訓練だけで,できてしまうでしょう。ということで図5の赤で示した領域までマスターすればいい,ということになります。

ビジネスで英語を使いこなしたい!

 ここが一番のボリュームゾーンだと思います。ただ求めるレベルは人によってまちまちで,ある人は,恥をかかなければいい,ある人は,完璧にふるまいたい,となるでしょう。ここでは,せっかくなので目標は高く,後者の場合とすると,図5の水色で示した領域までマスターすればいい,ということになります。

 

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図5.英語を身に付ける目的と,それぞれに求められる英語力

②今の自分の『英語力』を知る!

  次は,今の自分の立ち位置を知る,ということです。ここでしっかり,自分の現状を把握しましょう。横軸の語彙・文法レベルが,中学,高校のどちらのレベルなのか?縦軸は,読めるだけなのか,聞くまではできそうか,というとこから,自分自身がどのようなマトリックス上の実力を知ることができます。

 ちなみに留学前の自分は,図6の赤字の「現状」に近い状態でした。

③目標と現状の差を埋める努力をする!

 最後に,現状とターゲットとの間を埋める努力をしていきます。

 次の図6を例にとると,語彙・文法のレベル1~5に対しては話す訓練をして,レベル6,7についてはリスニングの練習も併せてやって,同時にレベル8の語彙・文法は最初から勉強する,といった具合です。ここで日本の英語教育を受けてきた人が陥りがちなのは,社会人になって以降はスピーキングの訓練だけすればいいと思ってしまうことです。受験英語学習をちゃんとやってこなかった人は、語彙力や文法トレーニングも必須になることは注意したいところです。

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図6.目標と現状(赤線)の差異の可視化

 

英語力に関する誤解に回答

最初の疑問:日本人が英語を喋れない理由とは?

 一般的には,日本の英語教育では英語の運用力の訓練を一切していないから,ということなっています。基本は英語の運用力を上げなければいけないということは正しいのですが,個々人によってスタート地点は全く違いますし,「英語を話す」にもいろいろなレベルがあります。

 例えば,日常英会話ができるようになりたいとします。中学英語(語彙・文法)まで身に付けている人は,あとは運用力向上の努力をすればいいです。しかし,ビジネスで英語を使いこなしたい場合は,人によっては運用力を上げるだけでは不十分で,学生のように語彙・文法の地道な勉強も必要になります。なので,「日本人が英語をしゃべれない理由」というのは,英語の運用のトレーニングが足りないからとか,学校で習う英語が読み書き中心だから,とは言い切れないことになります。

ポイント

日本人が英語をしゃべれない理由は,目標をはっきりしないまま,やみくもに運用力のトレーニングをするから。目標を見定めれば,大抵の場合,運用力トレーニングはたいした分量は必要ない。

日本の英語教育は役に立たないか?

 それでは,日本の英語教育は役に立たないのでしょうか?ここまでくれば明確に答えられます。日本の英語教育は,運用面のトレーニングは「聞く」までで,文法・語彙力の強化が中心です。マトリックスで言うところの英語力を横に伸ばす努力ばかりをしているので,運用力が身につきにくくなっています。

 しかし,英語をビジネスで使い来なすことが最終目的であれば,受験英語で学んだことは全て役に立ちます。受験英語を身に付けた後,運用量のトレーニングをすること,驚くほと短期間に話せるようになります。学んだことに一切の無駄はありません。留学前に自分が,まさにこの状態でした。

 一方,日常英会話程度ができるようになりたい,ということであれば,高校レベルの語彙・文法でも一部不要な部分はあるでしょう。でも中学レベルの英語すら怪しい人はちゃんと勉強しないといけないです。基礎がないのに英会話ばかりやっていてしゃべれないのはこのタイプです。

ポイント

受験英語での学習は,今回提案した「運用力」と「語彙・文法力」の2軸の『マトリックス』を埋める作業である以上,全て役に立つ!

 それでは,今の英語教育は問題はないかというと,そうではないと思っています。現行の教育は,運用能力の訓練は個人の努力に委ねられ過ぎているところがあります,もう少し教育カリキュラムの中で,運用能力向上のためのトレーニングを組み込んでもいいのではないかと思います。

 今では巷に英語があふれています。YouTUBEや映画も副音声で簡単に英語で聞くことができます。日本の教育の問題はこう言った身近な場面で,英語が上達した実感を得られなく,教育を受けたにも拘わらず理解できないという挫折感を感じてしまうというのが問題です。

 そこで提言したいのが,中学レベルの語彙・文法を身に付けたら,その先は一旦,さらに難しい語彙・文法に進むのではなく,一部は運用力の向上のためのトレーニングに割くべきだと思っています。そうすることで,高校生という比較的若い段階で,英語の上達を身近なYoutubeや字幕映画で感じられるのではないでしょうか。  

 

 といってもなかなか教育システムが直ぐに変わることはないと思いますので,次回以降,個々人の努力で英語力を向上するためどうしたらいいのか,自分の経験をもとに目的別にご紹介していきたいと思います。 

まとめ

 今回は,語学に関する初回として,英語力をマトリックスで捉えるアプローチと,マトリックスをベースとした英語力向上の方針の立て方,さらに巷に言われている俗説に対する回答をしてみました。今後は,具体的な英語力の向上の方法について発信していきたいと思います。

 今回は長文を最後まで読んで頂きましてありがとうございました。(7186字)