江のブログ

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『留学すると英語をしゃべれるようになるか?』『留学前・中・後の英語勉強法』を留学経験(2年)をもとに検証

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 こんばんは,えの吉です。プロフィールにもありますように,自分は2年間ほどヨーロッパに留学していました。ただ留学といっても語学留学ではなく,海外の大学の研究室に在籍して本業の研究を進めることが目的でした。つまり,語学習得は留学のメインのミッションではなかったのですが,留学を通して英語の運用力は飛躍的に向上し,ビジネスに使える英会話力が身につきました。一方,語学習得を目的として留学をしても,片言の英語しか身につかずに帰ってくる人もいるようです。

 そこで今回の記事では,実際のところ,留学すると英語はしゃべれるようになるのか?2年間の実体験を踏まえて書いていきたいと思います。

 

1.留学すると英語はしゃべれるようになるか?

 実際,留学をした経験から言いますと,まず留学すると英語が魔法のようにしゃべれるかというと,全くそうではありません。英語力向上に必要な努力(勉強)量は変わらないですし,同じ時間だけ努力したときに伸びる英語力も日本にいるときと何ら変わらないと考えています。

 留学のメリットは,日本にいるときコミュニケーションをとるための唯一のツールであった日本語を封じられるため,現地でコミュニケーションをとるため外国語を使うことを強いられること,強いられた結果努力をせざるを得ない環境が得られることです。また,その努力が日常的なコミュニケーションを伴って自然に発生するものなので,それほど苦にならない,負担に感じない,ということです。

 繰り返しになりますが,留学したからといって,英語を喋れるようになるための努力の総量が減ることはありません。一方,留学の結果得られる環境の変化により努力の総量が自然と増えるので,短期間に英語の運用量を向上することができます。

 ちなみに,全く英語ができない人は留学しても,ビジネスで使えるような英語はなかなか身につかないと考えています。この理由は後で(3節の最後のほうで)述べたいと思います。

2.留学前にやっておくべき勉強

正確な発音・イントネーションを身に付ける

 まず,発音,イントネーションができていない場合は,早く矯正した方がいいです。

折角,留学中に英語をしゃべりまくれる環境があるのに,間違った発音でしゃべりまくって,間違った言語を体にしみ込ませてしまうのは,残念過ぎるからです。

 矯正方法ですが,基本的には『ネイティブをマネて発音する,英語を読む』ということでいいと思うのですが,初級者には難しいことかもしれません(個人的には,ネイティブというお手本があるのに,日本人がそれとはかけ離れた,発音・イントネーションとなることが不思議です。「学ぶ」のスタートは「真似る」ことのはずなのにです。)。

 そこどうしても難しいという方は,次の本をおすすめしたいと思います。自分も留学前に買った本ですが,とても良い本で役に立ちました。

 折角なので発音に関して1つ重要なポイントを上げたいと思います。それは,「全ての音に母音を入れない」ということです。

 日本語だと50音全てに母音が含まれます。「あいうえお」以外全てが「子音」+「母音」の発音です。英語では,「子音」だけの発音がたくさんあります。例えば,discussionという単語だと,日本人は「ディスカッション」と言いますが,英語の発音では,「ス」「ショ」にそれぞれに含まれる母音「ウ」「オ」は発音しません。適切に母音を発音しないだけでも英語の発音はかなり改善されます。また,単語レベルで正しく発音できることで,イントネーションや,センテンスの抑揚などのリズムもかなり改善されていくと思います。

TOEIC700点

 仮に現時点で,英語を「話す」などの運用能力が低くても,受験英語を含む英語力の下地をつけておくことで,留学後の英運用能力の伸びには格段の差がでます。以前の記事に書きましたが,縦軸:英語運用力,横軸:語彙力(表現の幅)としたときに,それぞれの軸でより高いレベルまで能力を伸ばしておくことで,英語運用力の最終段階である,「言葉を口をついて出る」段階に比較的容易に到達できるということになります。

giron.hateblo.jp

  

 私が利用した社内の留学制度でも,TOEICの基準点は700点以上となっていまして,この説を裏付けているとともに,妥当な基準ともいえると思います。

 

3.留学中の英語の勉強法

 次に留学中にどんな努力(英語の勉強)が必要なのか,実体験や留学していた仲間の経験を元に書いていきたいと思います。

①話し相手を見つけて英語を話しまくる

 いきなり勉強らしくない方法ですが,留学したら現地の人と話すことが,努力の中心になります。現地で普通に生活していれば,1人や2人はつるむ人がでてくるでしょう。その人と英語で徹底的にコミュニケーションを取ることをおすすめします。

 自分の場合は,同じ研究室の同僚のトルコ人でした。トルコ人といっても,母語のトルコ語の他,ドイツ語はペラペラ,英語もかなり流暢でキレイな発音でした。留学当初は自分よりはるかに上でした。

 そのトルコ人は,毎日の1日3~4回のコーヒータイム,大学での仕事が終わった後は週に1~2日は飲みに誘ってくれました。そこで,仲間と自然にたくさん英語を話すことができました。

 また,飲んでいるときは,普通にお互い研究のことや,お互いルーツ(国や歴史)について話したり,ときにはお互いの主張を譲らずほぼ喧嘩のような状態にもなりました。

 このときは,動機は不純ですが,相手を言い負かすために,様々な英語のディベートのような表現を短期間に獲得していました。例えば,短いセンテンスですが次のような表現などです。

 That's not my point!/That's not what I meant! (それは自分がいいたいことじゃない!)

 勉強自体が目的化するとモチベーションは上がりにくいですが,目の前の人に議論に勝ちたい,など目的があると無尽蔵の努力ができ,英語の運用力を短期間に伸ばすことができます。

 自分の場合は,モチベートするのは大学の友人とのなんでもない会話やディベートでしたが,人によっては「現地人の恋人と話したい」だったり,現地の何かしらのコミュニティに所属して「その中でうまく立ち振る舞いたい」だったりとか,目的は様々であろうと思います。

 いずれにしても,良い話し相手を見つけて,うまく動機づけをして,とにかく英語をたくさん話すことで,短期間に英語の運用力を伸ばすことができます。

 

 さらに重要なことを付け加えますと,日常会話もただ散漫にやっているだけだともったいなので,しゃべるのに苦労した表現は意識的にメモとして残しておきます。次同じ場面になったときはスムーズにでるように時々見返してみましょう。そこまでがちがちにやる必要はなく,むしろ似て非なる場面が2~3度やってきて,数度のトライ&エラーの末にそれを試すことで自分の血肉となります。用意していた表現を,誘導した展開で掃き出しただけでは,その表現が身についたとはいえません。何度も似たような場面に遭遇してアドリブ的にその表現を使えたとき,はじめて身についたと言えると思います。 

 もう一つ重要なことですが、日常英会話だと表現がどうしても偏りがちです。そのため相手の表現で使えそうなものを,どんどん自分の英語表現の中に取り入れていきましょう。

 例えば,前出のトルコ人は頻繁に『such that』の構文を使いました。日本ではあまり習わない文法ですが,便利だったのと,また相手が使う表現だから伝わりやすいだろう,ということで自分の英語表現のバリエーションの中に取り入れることにしました。

   You should revise the paper such that it gets more readable. (その論文の直しなさい,そすればもっと読みやすくなる)

 ただ漫然と会話するだけでなく,どこで自分が躓いたか,また相手の英語に取り入れるポイントはないかなど,ときどき英語の運用力向上のために何ができるかを考えてみることで,より効率的に短期間に英語力を伸ばせます。

②オンライン英会話

 留学中の英会話は有効です。「留学中はさんざん話す機会があるのだから不要ではないか」と思われるかもしれません。日常会話にはない利点が2つあります。

 1つ目に,学んだ英語表現を意識的に試すことができます。先ほど,うまくしゃべれなかった英語はメモして復習するように,と書きましたが,その表現を試す格好の場になり得ます。現地の友人との会話で同じ場面を再現するのが難しい場合は,手っ取り早く英会話でその表現を試してみることができます。英語学習の場,という設定なので,無理に覚えたての英語表現を使っても問題ありません。

 2つ目に,日常会話だけだと,どうしても会話の内容や表現が偏ってしまいます。特に,『表現』については,気が付くといつも同じ言いまわしになっていた,となりがちです。その点,オンライン英会話を使い,いろんなシチュエーションや設定で会話することで表現のバリエーションを広げることができます。

 オンライン英会話をこのような意図で使う以上,ちゃんとカリキュラムに沿ったレッスンを選択することをお勧めしたいと思います。

 フリートークに近いレッスンですと,留学中の日常会話と変わらなくお金がもったいないです。逆に,留学後の英語のメンテナンスとしては,オンライン英会話を使った『フリートーク』は有効です。

 おすすめオンライン英会話については,下記記事をご覧ください。

giron.hateblo.jp

③留学に適した座学

 発音やイントネーションができていない人,これらを矯正する前に留学期間を迎えてしまった人は,やはり真っ先に発音やイントネーションの矯正をしましょう

 以前の記事に書いたように,うる覚えの表現でも,自分の口から出るほどに運用力を高めると,ヒアリングが『格段に』しやすくなります。そのためにも,ネイティブと同じようなイントネーションを身に付ける必要があります。

 

 発音・イントネーションの矯正以外では,表現の幅を広げるために,ネット動画やテレビなどのメディアなどの情報源も英語で見聞きするようにした方がいいと思います。

 

 また,帰国後に英語の資格試験で力試しをしたい方,それが求められている方もいると思います。試験勉強を帰国後にやると辛いので,なるべく時間のある留学終了の数週間~数カ月前くらいからやっておいた方がいいと思います。

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*英語の初心者は留学に向いてない?

 このように考えると,TOEICで400点くらいの人や英語の全くの初心者は,あまり留学には向いていないということになります。なぜなら,③はともかく,①②の勉強法はある程度英語力がないと,実行すること自体が困難だからです。①②がスムーズにできるよう,基礎的な英語力を留学前に身に付けておく必要があります。それが例えば,TOEIC700点ということになります。

 一方,TOEICで400点くらいの人や英語の全くの初心者が,1~2年の有期の留学後にペラペラになって帰ってきた!という反論があるかもしれません。

 しかし,まずその人は本当に話せているのでしょうか?という疑問があります。これはあらゆる分野について言えることあですが,その道の初心者には自分以上のレベルの人の優劣は判断できません。ペラペラ風のブロークンな英語をしゃべっているだけ,という可能性があります。

 また,仮にペラペラになっているとして,その人は留学中に相当の座学をしたはずです。それも日本に居てもできるような座学をです。

 つまり,英語ができない状態で留学すると,現地にいるのに日本にいてもできる勉強をして英語の基礎を身に付ける必要があり,英語習得までの期間,つまりトータルの留学期間がもの凄く長くなります。その結果,その留学は非常にコスパの悪い投資となってしまうのです

4.留学中におすすめしないこと

日本人コミュニティに入り浸る

 個人的な印象かもしれませんが,自分(日本人)を含めたアジア人には群れたがる性質があるように思います。これまで見てきた経験でも,すぐに日本人コミュニティを作って友人はそちら,外国人はビジネスで最低限の付き合い,となりがちです。しかし,これは非常にもったいない,機会損失と言えます。

 積極的に外国人の話相手を見つけましょう。むしろ日本人コミュニティは,現地で生活で不便がないように,せいぜい最低限の情報を収集する場程度としましょう。本当は生活情報すら,より詳しいはずの現地の人に英語で聞いて理解する方が,正しい情報が得られるだけでなく,英語の勉強にもなると思います。

留学中である必然性のない座学ばかりやる

 座学では,参考書ベースに,語彙や表現を勉強したり,リスニングをすることが中心にならざるを得ませんが,せっかくなので毎日の現地の職場・大学での英会話と連動させた勉強にしたいところです。自分の場合,その日にメモした,うまくしゃべれなかった表現,今後会話の中で使っていきたい表現を中心に勉強しました。そして,なるべく学んだことを翌日の会話の中に登場させる努力をしていました。

 自宅にこもって計画性なく使いもしない難しい語彙や表現のトレーニングに励むのは,留学の機会損失になると思います。 

 

5.留学後の勉強法

  最後の留学後の勉強方法について少し書きたいと思ます。留学が終わり,日本に帰るとと英語を使う機会は激減します。自分の場合,まず友人と離れ離れになったため,毎日のルーティーンだった英会話がなくなります。また,ちょっと街を出歩いたおきにスーパーの店員とするちょっとした英会話のようなものもなくなりました。帰国直後は,人とぶつかるとついつい「Sorry」といってしまいましたが,だんだん「すみません」と言うようになります。やはり頬っておくと英語力はどんどん下がっていきます。そこでおすすめの英語力のメンテの方法は2つあります。

 1つ目は,やはりオンライン英会話です。留学中に得られていて帰国後に得られなくなる英会話の機会はキープするようにしたいです。自分は,帰国後も現在に至る6年間ずっとオンライン英会話を続けています。一度築いた英語力という資産・財産を簡単に失いたくないですよね?

 2つ目は,ネット動画や映画などでネイティブの英語を聞くこと,たまにシャドーイングすることです。ただし,これらのネイティブ英語はかなり英語力を上げないと,例えばTOEICで900点くらいはないと,聞き取るのは難しいと思います。ただし,1つ目と比べると,ネット動画や映画を字幕なしで見るだけなので,かなり安価に(ほぼ無料で)英語力をキープできる方法です。ですので,なるべく留学中に,このレベルまで英語力を高めておくことをお勧めします。

6.まとめ

  今回,自身の留学経験を元に,留学前にすべき勉強と,留学中にするべき勉強方法について記事にしてみました。ポイントは以下です。

・留学前には,日本にいてもできること,例えば正しい発音・イントネーションを身に付けて置く

・留学中の勉強は,現地で英語をたくさん話すことが基本

・英語力が低い状態(TOEIC400点程度)で留学しても,日本でもできる勉強で基礎力をつける必要があり,有期の留学では使える英語は身につかない,あるいはコスパが悪い。

・留学後は,オンライン英会話や字幕なし英語動画・映画で英語力をメンテするのがおすすめ

 

 さらに一言で要約しますと,『留学前にTOEICで700点以上,発音・イントネーションは正確なものを身に付けましょう,そうすれば留学中にたくさん話せて,加速的に英語力(英会話力)が身につく』ということです。 

 以上,留学を検討されている方の参考になれば幸いです。