江のブログ

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【投資】 新NISA、インデックスファンド至上主義に感じる違和感とその理由

 2024年から始まる新NISAもあり,投資対象として近年「インデックスファンド」が注目を集めています。もちろん収益に対して非課税になるメリットがあるので少なくともこれまでの一般的な投資信託やインデックスファンドより魅力的なのは間違いないです。また,最近出版される様々な投資関連の書籍でも「高配当な個別投資よりインデックスの方が利回りが良かった」との過去の歴史を元に,NISAやそれを使ったインデックス投資を推しています。

 しかし,この例のように過去の実績を元に未来を語るような論調が目立っていたり,そもそも利回りの計算が間違っていたりで,過剰評価になっていると感じます。今回の記事では,新NISA、インデックスファンドの至上主義に感じる違和感とその理由について考えてみたいと思います。

 

年利の計算間違い

 それほど多くはなさそうで意外とあるのが,ファンドの評価損益を年利(1年間の利回り)と考えて過剰見積していたり,年間で見ていてもファンドの価格上昇率を年利と勘違いしているケースです。

年利の計算間違い

 それでは実際に私が積立NISAで投資している,S&P500系のファンドを例について見てみます。

積立NISAの運用状況(SBI証券)

約2年程度の期間での上限いっぱいの積立で,733,330円の投資に対し、評価額は881,670で約14%の利回りとなっています。

しかしこれはあくまで2年間の累積ですので,単利で考えても年利7%(14%/2年)ということになります。

もちろんNISAということで利益は非課税ですので,年利7%は良い数字ですが,ここ数年の急激な円安の影響も込みですので,今後この数字が継続するかは微妙なところです。

ファンドの価格上昇率を年利と勘違い

 あともう1つやってしまいがちなのが,ファンドの価格上昇率を年利と勘違いするというものです。

 

こちらは,SBI証券の「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の価格(円)推移です。

SBI証券「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の価格推移

 私がつみたてNISAを始めた22年2月の約17,000円から,現在(23年12月)には約22,000円に上昇しています。上昇率を計算すると29%とかなりの値です。約2年経過しているので,1年で見ても14.5%(29%/2年)です。

では,年利14.5%もあるかというと,先ほど見たように実際には7%程度です。これは当然ではありますが,つみたてなので例えば昨今の20,000円台の値上がりした価格でもファンドを買い続けているからです。

 つみたてNISAの期間2年間で価格が比例して上昇したと仮定してざっくり計算をします。この期間,平均して19,500円(17,000円と22,000円の平均)でファンドを購入したことになるので,実際の年利は7%程度(22,000円/19,500円/2年)となります。

つまり,言いたかったのは,積み立てでファンドを購入しつづける限り価格上昇局面であっても高値でファンド購入し続けざるを得なく,ファンド価格の年間の上昇率より,実際の年間の利回りは少なくなる(ざっくり計算で半分)ということです。

 

やっぱりある価格下落リスク

 それでも年利7%,しかも非課税であれば十分魅力的かもしれません。

しかしこれは,近年例を観ない円高と,引き続き好調なS&P500の値動きに支えられてのものです。私はこのトレンドが今後も安定的に、継続的に続くとは思ってはいません。

インデックスファンド:過去の歴史

こちらは1999年から2009年のS&P500の値動きを観たものです。

S&P500の値動き

 現在,4,750ポイントですが,注目して頂きたいのは,2000年からの価格の変化です。

 2000年当時,1,500ポイントであったS&P500ですが,2000年以降は下落上昇を繰り返し再び元の1,500ポイントに戻ったのは13年後の2013年です。つまり,2000年から2013年までの13年間,投資リターンがゼロだったということになります。

定期やしくみ預金どころか,よく極端な比較として挙げられる,メガバンクの普通預金金利0.001%よりも損することになります。

 

 勿論つみたての場合はその間に安値で購入した分の利益はでますが,それでも13年間で20%程度(下図の赤い部分の面積比率)で,年利では1.5%程度です。(一方,最初にみたように,積み立ての場合は価格上昇局面でも同様に高値で買い続けることになるので,利益は目減りするデメリットがあります。)

長期で見れば最後は儲かるという誤解

 「いやその期間ではダメでも,次の10年では上がるはずだ」という声もあると思います。実際,先の例のように13年値動きなければ,その後は上がる可能性は高いのではないか?と私も思います。

しかし,13年間利益が出ず,その13年の投資期間は無駄だった、という事実に変わりはありません。

繰り返しますが,よく極端な比較として挙げられる,メガバンクの普通預金金利0.001%よりも損することになります。(上記のように積立でも,1.5%程度の年利回り)

 

 今後,このような13年間がやってこないとも分かりません。

特に現在円安と好調さに支えられているS&P500については,昨今の物価高による異次元の金融緩和が解除とそれに続くかもしれない円高の可能性もあり,円建てのS&P500のファンドの価値は下がる可能性があります。

 

という訳で,S&P500や全世界株が安泰とは考えられず,もちろん20~30年スパンで見たら値上がりする可能性は高いと思っていますが,不確定であり,今後10年に確実性高く資産形成を進めたいと思っている自分としては少なくとも全振りするほど(ンデックスファンド至上主義)楽観視できない,というのが今回の結論です。

まとめ

 今回の記事では,新NISA、インデックスファンドの至上主義に感じる違和感とその理由について考えてみました。私自身,NISAの非課税の利点や,インデックスファンドの過去に歴史をみた手堅さは大変魅力だと思っています。一方,勘違いに基づいたインデックスファンドへの過剰評価や,過去の実績に頼った過度の依存は,本来得られる利回りを獲得できないリスクに繋がると考えています。

 次回は今回の分析に基づいた私の資産形成の方針(新NISA+それ以外)について記事にしたいと思います。