江のブログ

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アニメと実写コンテンツの特徴と違い~日本アニメが世界で人気の理由を考えてみた

アマプラ,ネットフリックを見ていると日本のアニメ作品が隆盛です。ガラパゴス的な人気ではなく,日本以外の欧米を中心とした海外でも人気があるようです。

ここで疑問なのが,なぜ日本のアニメは世界的に突出して人気なのか?ということ。特に,CG技術の発達により表現力が増した実写の映像作品に対して,表現力の観点で不利に見えるアニメが未だに人気の理由を考えてみました。

この記事のポイント

・「実写」だと倫理的に表現が難しいところを,「アニメ」では「デフォルメ」することで過激表現が可能であること,「アニメ」ではシンプルな作画による表現が可能であること,を付加価値としている

 

アニメと実写の違い、その位置づけ

 アニメとはアニメーションの略語です。アニメと実写の違いですが,アニメ(動画)は手書きあるいは画像ソフトにより作成した「実在しないもの」の静止画(絵)をコマ撮りと映写によって動いているように見せる動画なのに対して,実写は「実在するもの」をカメラのレンズを通して撮影した動画のことです。

欧米でのアニメの位置づけ:過去

 欧米的な合理的な価値観で言えば,そもそもアニメーションは実写では撮影困難,あるいは撮影不可能な映像を表現できる手段,という役割があったと考えられます。

本当は実写で表現したいし,実写の方が感情移入もできる,しかし撮影あるいはCG(コンピュータグラフィック)の技術が未熟だった。それゆえ,欧米のアニメ作品では,感情移入の必要のない子供向けであり,架空のキャラクターが主人公のアニメ作品が作り続けられてきました。感情移入が命の大人向け映像作品はいずれも実写で,アニメ作品は皆無です。

欧米でのアニメの位置づけ:現在

 さらに今ではどんなシーンでも(アニメーション含め)自在にCGで再現(「CGは実写ではない」というのは置いておいて)できるようになりました。そのため,これまでアニメでしか表現できなかった作品,例えば「バットマン」や「スパイダーマン」なども次々で実写化されています。映像技術の革新により,実写化されても違和感が無くなったためです。このような状況下では,「リアルで感情移入ができる実写を,わざわざアニメにする必然性はある?」となってきます。

 つまり,アニメでしか表現できなかったもの減少し,徐々に複雑な表現が可能となった実写コンテンツに置換されてる,というのが欧米の合理的な価値観で考えたときの近年のトレンドだと考えられます。これはちょうど,写真用のフィルム(アニメ)がデジカメ(実写)に駆逐されたように,またそのデジカメ(アニメ)がスマホ(実写)に駆逐されたことと似ています。

 その結果,欧米では,子供向け以外では,大人の楽しめるような本格的なアニメーションはありません。良い映像作品はたくさんあるが,それらは実写です。

 

アニメをつくり続ける日本

 しかし,日本では「大人が楽しめるアニメ作品」が作り続けられています。これは,アニメのメリットを理解してアニメ作品に注力しているということより,むしろ日本的な例え時代の流れと逆行していても伝統文化を大切にして守るという精神によるものと考えます。ネガティブな意味では,これまた日本人の習性である,一度できた制度を自らは変えられないという柔軟性の無さを表われとも言えると思います。兎も角,日本ではアニメが作り続けられています。

 では先ほど例に挙げた写真のフィルムのように時代遅れてになっている?あるいは,日本のアニメはガラパゴス化しているか?というと,そんなことは全くなく,冒頭で書いたように,アマプラやネットフリックスなどで世界中で人気コンテンツとなっています。最近では「進撃の巨人」「ビンランドサーガ」「チェンソーマン」あたりでしょうか(かなり偏りはあると思いますが。。)。

日本アニメが世界を席巻している1つの理由

 世界を席巻し独壇場となっている理由は,あとから述べるようにアニメしか持てない特徴をうまく生かしているからなのですが,もう1つ重要な理由として,単に世界がアニメ作品の製作に手を出していない、だから結果的に必然的に日本の独壇場になる,ということがあると思います。

 世界がアニメに手を出さない理由として,先ほど述べたように,欧米的な価値観では「実写で表現できないものはないのに,何故わざわざ(仕方なく)実写をデフォルメしたアニメにするのか?」という考えが根本にあると考えられ,実際に日本以外からは本格的な大人でも楽しめるアニメ作品は一切出てきません。なので日本のアニメ作品に競合する海外のアニメ作品はそもそも不在なのです。

 

以上から日本のアニメ作品は一見時代遅れとも言えそうな表現方法だが,競合がいないという点で,海外より優位なのはわかった。しかし,それでは海外の実写の映像作品に劣らない人気を海外で博しているのはなぜか?

なぜ,表現の幅を広げている実写コンテンツに駆逐されていないのか?アニメに実写にはない魅力,海外でも受け入れられる客観的な根拠があるはず,ということになります。

アニメにあり実写にない魅力

実写のNG表現がアニメでOKだったりする(デフォルメが有効に機能)

 アニメでは実写とくらべて,人物、風景がデフォルメされているため、感情移入しにくいのは否定できない事実だと思います(表現やストーリーで頑張った結果,実写より感情できる場合もあるという例外の話ではなく,表現方法だけに着目した傾向の話です。念のため)。

 しかし,このデフォルメが有効に機能する場合があります。例えば極端に残虐なシーンの表現です。人間が真っ二つになるって殺されるようなシーンとか,実写だと目を背けてしまうようなシーンも,アニメだとなんとか観れたりします。ジャンルとしてアニメ=架空の話というイメージが共有されているので,抵抗感を覚えにくいのです。

また,Hなシーンとかグロ系とかもそうです。最近では「チェンソーマン」を観てますが、正直実写では到底放送できないような過激なシーンのオンパレードです。げ〇を吐いてる口移しするシーンとか実写では,何かの規制に間違いなく引っかかるようなシーンもありました。

 ということで,かつては感情移入を妨げる要素であった「デフォルメ」ですが,CGによって表現力が向上した実写でも倫理的に表現が難しいところを,アニメ化により「デフォルメ」することで表現可能としてしまう、というメリットがあるということです。

表現の自由度が高い

 これは先ほどの話では一見矛盾しているようにみます。確かに,現代では実写で表現できないものは殆どありません。どんなに複雑な映像で,コンピュータの処理性能の向上にともない表現できしまいます。

しかし、逆に実写ではアニメで可能なようなシンプルな表現できるでしょうか?最近では「すみっこ暮らし」のようなゆるキャラが人気です。今の昔の日本の2~3頭身のアニメキャラは人気です。そのような表現のシンプルさがカワイさ,現実から逃避した安心感を与える効果があると考えられます。アニメでしたできない、実写では不可能なシンプルな表現が,実写のメリットである「感情移入」とは異なる魅力を「アニメ」に与えています。

まとめ

以上,アニメと実写コンテンツの特徴と違い,さらに現在日本のアニメが世界を席巻している理由について考えてきました。実写にはないアニメの魅力として,特に実写だと倫理的に表現が難しいところを,アニメ化により「デフォルメ」することで表現可能としてしまう、というメリットが重要でした。また,もう1つの方向性として実写ではできないシンプルな表現というのも,アニメを実写と差別化するための重要な特徴でした。

 逆に言うとアニメは実写作品と差別化した存在価値を得るため,前記2つの特徴を生かした尖った作品が増えると思われます。一方,欧米ではこれらのアニメの価値に気付き,感情移入が必要な大人向けの高品質のアニメ作品が生まれてくるのではないかと思います。