今回は,血液型性格占い(判断,診断ともいう・・)についてです。
前の記事では,「血液型性格占い」に対する世の中の否定意見が,的を射ずイマイチである話をしました。
今回の記事では,一転して自分が「血液型性格判断は当てにならない」と思う理由を提示していきたいと思います。
血液型性格判断が信用できない理由
性格の定義は実はあいまい
まず,性格とは何か、というところから遡ってみたいと思います。
性格(せいかく 英:Personality)は、生物学的・環境的要因から進化する行動、認知、そして情動パターンの特徴的な集合として定義される。一般的に合意されている性格の定義はないが、ほとんどの理論は、動機づけと環境との心理的相互作用に焦点を当ている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウィキペディアによると,『性格』という言葉について一般的に合意されている定義はないとのことです。
そこで,取り敢えず対になる性格で代表的なものを列挙すると,
良い,悪い,明るい,暗い,正直,嘘つき,温かい,冷たい,神経質,おおらか,知的,愚か,利己的,利他的,ポジティブ,ネガティブ,几帳面,がさつ
などがあると思います。
性格を「先天的」,「後天的」で分類してみる
次に,この中で比較的先天的,つまり遺伝的なものと,後天的つまり遺伝的な影響が発現した成人になったも環境によって変わるものの2つに大まかに分けてみます。
すると,少し微妙なところはありますが次のようになると思います。
先天的:明るい,暗い,知的,愚か
後天的:良い,悪い,正直,嘘つき,温かい,冷たい,神経質,おおらか,利己的,利他的,ポジティブ,ネガティブ,几帳面,がさつ
ちなみにこちらのサイトでも性格というものは,先天的,後天的に分けられるとでてきたので,間違った分類方法ではないのでしょう。
血液型で予測するのは後天的な性格ばかり
それでは改めて,さきほどの分類を見てみます。ここでは血液型性格診断で当てると言われている性格に下線を引いています。
先天的:明るい,暗い,知的,愚か
後天的:良い,悪い,正直,嘘つき,温かい,冷たい,神経質,おおらか,利己的,利他的,ポジティブ,ネガティブ,几帳面,がさつ
こうやってみていく,血液型で診断できるとされている性格は,いずれも後天的に決まる性格ばかりであるということです。
後天的な性格ということは,1人の人生でいくらでも変わったり,両方とも経験する可能性の高い性格です。例えば次のような事例はいくらでもあります。
・子供の頃はかなりガサツだったが,大人になって精神的にも成長して,部屋をキレに片づけるようになった(B型→A型)
・子供のとき「変なやつ」といじめられたので,普通でいようと努めた結果,大人になってからは逆に「個性がないやつ」と言われるようになった(AB型→A型,O型??)
逆パターンもあります。
・子供の頃は親の躾が厳しくて几帳面だったが,一人暮らしになって生活が乱れた(A→B)
・子供の頃は温厚だったが,ある出来事や事件をきっかけに心が乱れて「危ないヤツ」になってしまった(O→AB)
つまり,長い人生(過去)を遡れば,複数の,あるいは対になる後天的性格をいずれも経験している可能性が高いので,血液型(A,B,O,AB)が持っているとされる性格のいずれも当てはまってしまうのです。
また,これらの性格を対になるように提示しましたが、これらはいずれも1人の人間が対になる性質の両方を同時に持ち得るものです。例えば,ある面ではガサツだが別のことについて几帳面だったり神経質だったりすることはあります。ある人にはおおらかだけど,裏では神経質だったりと,同時に持ちうる性格です。
以上のような後天的でかつ,同時に持ちうるような性格を言い当てたところで,それはもはや予測とはいえないのではないか、といのが今回の主な結論です。
補足:バーナム(フォアラー)効果とは少し違う
詳しい方なら,それって結局心理学でいうところの「バーナム(フォアラー)効果」ではないか?と思うかもしれません。バーナム効果について前回の記事でも紹介しました。
しかし,バーナム効果というのは,誰にでも当てはまることを,特定個人にしか当てはまらない個性や性格のように思わせる効果です。
しかし,この記事で挙げた後天的性格というのは,ある瞬間で切り取れば確かに個性として存在し,誰でも当てはまるものではありません。
先ほど述べたのは,長い人生(過去)をさかのぼれば,複数の,あるいは対になる性格をいずれも(時期を変えて)経験している,ということです。その結果,いずれも当てはまってしまうというものなので,バーナム効果とは異なります。
余談①:血液型性格診断に感じるその他の違和感
もし血液型が性格という,人間の1人を決定づける重要ファクターであるなら,他に先天的な特徴に影響を与えていいはずです。
しかし血液型は,先天的な特徴である,身長,体重,寿命,知性(先天的な性格?の1例として上にも書きました),特定の病気への罹患のしやすさ,その他身体的特徴について,何一つ影響を与えていません。
このような輸血以外に使い道がない血液型という情報が,性格という重要ファクターに限って影響を与えるというのは違和感を感じます。
余談②:性格を言い当てる遺伝子が見つかったら
もし仮に本当に人の性格を決定づける遺伝子が発見されたとしましょう。そして,それが容易に検査によりわかる時代になったとします。
そんな時代に,個人がその遺伝を勝手に検査してり,公開したりすることは許可されるでしょうか?許されないと思います。それは,人のプライバシーを侵害したり,容易に差別に繋がるからです。
血液型はどうでしょうか。皆,公然とオープンにしています。それ自体が性格など予測できない「どうでもいい情報」であることを暗に示していると思うのです。
余談③:ないことは証明できない=悪魔の証明
最後に断っておくと,血液型で性格が判断でき「ない」ということは厳密には証明できません。これは悪魔の証明というやつです。
これがゆえに,いつまでたっても,「血液型と正確が関係ないことが分かった」という研究成果が出てこず,報道もされないのだと思います。
つまり,血液型性格占いを完全に否定することは原理的に不可能ということです。このため,上記に挙げたように,限りなく間違っていることが分かっていても,なんとなく,しぶとく世の中に残り続けているのだと思われます。
まとめ
今回は,血液型性格占い・判断が当てにならない理由について記事にしました。「ないことは証明できない」という悪魔の証明があり完全否定には至りませんが,信用できない理由として参考になるかと思います。「怪しいけどうまく否定できない・・」そんなもやもやした頭が少しでもクリアになることに繋がれば幸いです。