本屋のベストセラーコーナーに行くと,いつも山積みされている自己啓発やハウツー本の数々。。
しかし毎年のように出版されて,成功者の生き方やノウハウを示しているはずのハウツー本,自己啓発本のおかげで,読者である皆さんが賢くなったり,生産的に生きられるようになったりしているのでしょうか。実際は,変わっていないのではないかと思います。それどこからむしろ,あれもこれもと書かれていて,振り回されたり,混乱したり,習慣化しようとして失敗したりと,ネガティブな影響すらあるのではないかと思います。
個人的には,ハウツー本・自己啓発本の意味は,もともと本に書かれていることの7~8割を”自身の気づきで”分かっている人が、そのやり方を確認したり,補完するものなのだと思います。今回は,ハウツー本・自己啓発本を読んで上手くいかない理由と,正しい付き合い方について考えてみたいと思います。
ハウツー本を読んで上手くいかない理由
自分で気づくことが重要
ハウツー本を読むと,てっきり著者のように成功をより短期間に,効率良く実現できるのではないかと思いがちです。
しかし,ハウツー本を書くことが許されたようないわゆる成功者は自分でそのハウツーを探しあてる努力と結果を残しています。一方,ハウツー本を読んで,これを実践すようとするだけの読者は,これらの努力をしていません。
しかし,そのハウツーを探しあてる努力・思考力・行動力あるいは「気づき」のプロセス(過程)こそが,あらゆることを成功を導くのに最も必要だと思います。
読者側にはそれがないので,ハウツーだけで表面的にそのエッセンスだけ学んでも,十分な効果が得られないと考えられます。
ですので,例えば本を読んで「こんな考え方があったのかぁ・・・」と感心している時点で,日頃からいかに物を考えていないか反省すべきで,ハウツーを実践するにはかなり遠い状態にあると思った方が良いと思います。
人によってハウツーにマイナーチェンジが必要
ハウツー本の著者はたいてい自身の経験をもとに書かれます。するとその方法が,著者が経験した特殊なケースだから通用する場合だったりします。一方,自身の特殊な経験に対するソリューションを広く一般的な方法に落とし込んでいる場合もあります。しかし,一般的になり過ぎて実用的でなくなってしまったりします。
しかしこれはある意味で当然のことで,個々の課題が違えば,解決策は異なるということです。課題の数だけ,解決策があるということです。このため,一般化しようものなら,課題解決力を失ってしまいます。
つまり読者はただ読んで知識を吸収するだけではダメだということです。著者が経験した特殊なケースを自分のケースに焼き直して,自身の事例に使える部分だけを抽出したり,マイナーチェンジ(カスタマイズ)しなければならない,ということです。
実践できない
多くの人はハウツー本を読んで仮に納得できたとしても,そもそも実践できません。その理由は2つあります。
1つは本側の問題で,あれやれこれやれが多すぎる場合です。例えば,『〇〇できるための100の方法』といってこれを同時に実践できる人がいるでしょうか?だいたい見開きで,100近くのハウツーの載せる著者に立場に立ってみると,その相当数がボリュームを水増しするためのページだったります。すると,実践できるできない以前に,役に立たないことが書いてある場合が多いのです。
2つ目は,上の例とも関係しますが,たとえ役に立つ,本質をついたハウツーが書かれていても,多くの場合は著者の経験をもって書かれています。そのため,読者のケース(課題)にて,そのままの形では適用,実施できない,ということ起こりがちです。繰り返しになりますが,有効に使うには,自身の課題に合わせたカスタマイズが必要になります。
当たり前の事しか書いてない
これは書き手と読み手の両方の問題になると思いますが,よくよく見ると当たり前の事しか書いてしない本があります。
結局は「頑張ろう」だったり「人あたりを良くしよう」だったり,絶対的に正しいことをただ「やろう」といっているだけの場合があります。
例えば「世界平和」は誰も批判しない人類共通の理想です。「適度な運動」は,適度と言ってしまっている以上,100%全員が賛同するものです。しかし,問題はどうやってそれを実現するかです。
ここれ聞き心地のいい言葉で中身があると思わせて,結局当たり前のことしか書かない著者にも問題がありますが,それを見抜けない読者側にも問題があります。結局,聞き心地の良いことだけ書いてソリューションに言及していないのではないか?常に批判的にハウツー本を読む必要があると思います。こうすることで,自己啓発本・ハウツー本の意見,無駄に振り回されたり,混乱させられたりして,貴重な時間を失うリスクを低減できます。
ハウツー本の使い方:分かっている人が自分のやり方の確認のために使う
それでは結局,ハウツー本は意味がないのでしょうか?個人的には,分かっている人が,自分のやり方を確認するための使うもの,頭を整理するために使うものだと思っています。
ハウツー本・自己啓発本を読むということは,自身が何かに成功したいと思っていたり,自分もモチベートしたいという欲求があるということです。その場合,たくさんの失敗や反省をして,改善に向けた自身の気づきに基づく課題解決策をいくつも考えているはずです。
ハウツー本・自己啓発本は、自分で考えた課題解決策の答え合わせ,ブラッシュアップに使うものです。自分の頭の中だけで考えてきたことが,過去の成功者のやり方を比較して間違っていないか,大きく外していないか,うまく課題に合わせて解決策をカスタマイズできているか,を確認することができます。これこそが,ハウツー本・自己啓発本の最大にして,唯一の存在意義だと思います。
繰り返しになりますが,その原点になるのは,自分の頭で考えること。ただ考えるだけではだめで,ハウツー本・自己啓発本の著者と共感できるまでに良く考えること,解決策に自分で至ること,が重要だと思います。
まとめ
今回は巷にあふれるハウツー本・自己啓発本について,これだけ流通しているのに一向に世の中が良くならなかったり,あまり役に立たない理由について書きました。ハウツー本・自己啓発本は,まず事前に自分でよく考えていることが前提で,その上で自分のやり方を確認,補強するものだと思います。このような姿勢で接することで,ハウツー本・自己啓発本に振り回されずに,実を得ることができると思います。